秋の渓
クライマックスシーズンは魚がナイーブになる。
でも、一番ナイーブなのは
ナイーブな魚を追いかける釣り人である。
開店待ちよろしく山奥で日の出を待つ
宿命とも呼ぶべき秋の場所取り。
朝晩の冷え込みと共に、ますます早起きがしんどい。
秋の渓はやさしくない。
人の気配の無い所を探す。
我ながらスパルタンなコース選択だ。
オプションの蜘蛛の巣地獄も添えて。
迷走の末苦労して手にしたアマゴ。
サイズは大した問題ではない、秋の渓。
いや、言い訳か。
途中ポケットに入れてきたおにぎりをかじる。
気付けば蝉の声は聞こえなくなっていた。
ドラマは最後に起きた!
なんてことも無く
ルアーは綺麗に戻ってくる。
秋の渓はやさしくない。
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